|
2005年 04月 13日
僕は、日焼けマシンが設置してある地元のネットカフェへ向かった。
「いらっしゃいませ」 「あの、日焼けマシンを使いたいのですが」 「当店のシステムはご存知でしょうか?」 「はい、知ってます。それであの、」 「3時間ご利用コースと5時間ご利用コースがございますが、どちらをご選択されますか」 「3時間コースでお願いします、席はリクライニングシートの個室で。」 「ありがとうございます。部屋番は124番となります。ごゆっくりおくつろぎください」 「日焼けマシンを利用したいのですが」 「はい、ではこちらの用紙にお名前とご住所を」 「はい」 「日焼けマシンの方、20分以上の使用は危険ですのでお止めください。こちら、部屋の鍵となります。」 僕は鍵を受け取ると、日焼けマシンが設置してある部屋のドアを開けた。狭い無機質な部屋で服を脱ぎ、そろっとマシンに横たわる自分がひどく滑稽に思えた。そうして、仰向けになってマシンの電源を入れると、蛍光灯のようなものがつき、マシンが僕を焼き始めた。ああ、今、僕は金を払って体に悪い光線を浴びている。人はなぜ、金を払ってまでこのような有害光線を浴びたがるのだろうか。決まっている。このような光線を浴びて褐色に染まった肌を見て、他人が健康的だ、活動的だ、イけてる、という評価を下すからであり、この世は地獄だ。有害光線を浴びている最中、ブログのコメントが脳裏に浮かんだ。20分が経過すると、チンという音と共に、マシンが止まった。すっかり調理された自分は焼き具合はどんなもんかと鏡を見たが、体は依然として真っ白いままである。え、ちょっとこれどういうことなん。焦った僕は、機械が故障気味で十分な有害光線を浴びることができなかったと勝手に解釈し、店員との約束を破り、もう20分浴びることにした。20分後、僕はチンという音と共にマシンから這い出し、鏡を見た。駄目だ、白い。がっくりと肩を落とし、日焼け部屋を出ると、残りの時間を読書に割り当てた。2時間かけて漫画太郎著「樹海少年ZOO1」を読破。僕は23年間生きてきて、ここまで内容の酷い漫画を読んだのは生まれて初めてであり、巻が進むに連れ、作者の、もう連載を辞めたい、投げ出したい、どうでもいい、打ち切ってくれ、という思いがひしひしと伝わり、感動するに到った。帰宅すると、体の異変に気付いた。有害光線を浴びすぎたせいか、太ももの裏が赤くはれ上がり、熱をもっている。もう2度と日焼けマシンは使わないことを誓った。
by f_ranker
| 2005-04-13 21:49
| 就職
|
ファン申請 |
||